
京都水族館 
海獣チーム 
オットセイ等担当
            山本 渚

京都水族館 
海獣チーム 
イルカ等担当
            神尾 高志

すみだ水族館 
魚類チーム 
チンアナゴ等担当
柿崎 智広
すみだ水族館・京都水族館の飼育スタッフたちが、
        3月、都内某所で顔を合わせた。
        お互いに初対面、共通点はひとつ
        「ナマコを愛している」こと。
        ただし、推したいナマコは、
ふたつの水族館で少し違う。
        1時間を超える、探り愛、ぶつかり愛、
そしてわかり愛。
        世にも珍しいナマコについてだけを語る
灼熱対談、
スタートです。
 
        
        すみだ水族館
柿崎(以下柿崎) すみだ水族館の柿崎です。はじめまして。
        すみだ水族館の柿崎です。はじめまして。
      
        京都水族館
山本(以下山本) 京都水族館の山本と申します。
        京都水族館の山本と申します。
      
        京都水族館
神尾(以下神尾) 京都水族館の神尾です。よろしくお願いします。
        京都水族館の神尾です。よろしくお願いします。
      
柿崎 すみだ水族館に入って6年半、くらいです。その前は沖縄に住んでいました。今日はナマコの対談なんですけど、まあ、ナマコも結構触ってきたので。よろしくお願いします。
すみだ水族館に入って6年半、くらいです。その前は沖縄に住んでいました。今日はナマコの対談なんですけど、まあ、ナマコも結構触ってきたので。よろしくお願いします。
      
        神尾 あ、よろしくお願いします。私は京都水族館に入ってからは、まだ1年経ってないんですけども、その前に8年間、パラオ共和国という所に住んでいまして。そこでエコツアーガイドもやってたんですが、そのときナマコもよく紹介していました。
あ、よろしくお願いします。私は京都水族館に入ってからは、まだ1年経ってないんですけども、その前に8年間、パラオ共和国という所に住んでいまして。そこでエコツアーガイドもやってたんですが、そのときナマコもよく紹介していました。
      
        山本 私は入社3年目です。私がナマコと知り合ったきっかけは、
      私は入社3年目です。私がナマコと知り合ったきっかけは、
      
        神尾 ナマコと知り合った?
        ナマコと知り合った?
      
        山本 はい。専門学校のときに体験プログラムの実習があって、お客さんに対してナマコを説明するために勉強したのがきっかけです。皆さんとは比べものにならないぐらいのペーペーなんですが。
        はい。専門学校のときに体験プログラムの実習があって、お客さんに対してナマコを説明するために勉強したのがきっかけです。皆さんとは比べものにならないぐらいのペーペーなんですが。
      
        柿崎 そうなんですね、結構、ナマコを見てきたぞ感がありますね。
        そうなんですね、結構、ナマコを見てきたぞ感がありますね。
      
        山本 私は、ザ・一般的な知識の中で頑張ってお話ししようと思ってます。
        私は、ザ・一般的な知識の中で頑張ってお話ししようと思ってます。
      

 
        柿崎 実はですね、ナマコを普段から見てはいるんですけど、超おもしろいなーと思ったきっかけがあって、小笠原でめちゃくちゃナマコ好きな人に会いまして、ナマコの24時間映像とか見せてくれたんですよ。(笑)
実はですね、ナマコを普段から見てはいるんですけど、超おもしろいなーと思ったきっかけがあって、小笠原でめちゃくちゃナマコ好きな人に会いまして、ナマコの24時間映像とか見せてくれたんですよ。(笑)
山本 へー。
へー。
柿崎 人間のペースでナマコを見てるとですね、動いてないなというか、ゆっくりした生活してるじゃないですか。もちろん、生きてるスピードが違うんで。でも映像で見ると、めーちゃくちゃ動くんですよ。ほんとイモムシ並みにニョキニョキ、ニョキニョキ…、ニョキニョキって。それで、あー、生きてるなあと。ちゃんと生きてるんだなみたいなのが実感できて。ほかの哺乳類とかと比べても、「あー、動物だな」って感じることができたんですよね。他にも尻の穴とかも見せてくれたりしたんですけど。たまに水、ボーンと吹き出すんですよね。
人間のペースでナマコを見てるとですね、動いてないなというか、ゆっくりした生活してるじゃないですか。もちろん、生きてるスピードが違うんで。でも映像で見ると、めーちゃくちゃ動くんですよ。ほんとイモムシ並みにニョキニョキ、ニョキニョキ…、ニョキニョキって。それで、あー、生きてるなあと。ちゃんと生きてるんだなみたいなのが実感できて。ほかの哺乳類とかと比べても、「あー、動物だな」って感じることができたんですよね。他にも尻の穴とかも見せてくれたりしたんですけど。たまに水、ボーンと吹き出すんですよね。
山本 ねっ。(笑)
ねっ。(笑)
神尾 はいはい。
はいはい。
柿崎 なんか、ちゃんとそうやって、じっくり見せてくれる人がいると、こんなにおもしろいんだなと。僕、そこで感動しました。それでナマコ、もうちょっと見てみようかなと思って。
なんか、ちゃんとそうやって、じっくり見せてくれる人がいると、こんなにおもしろいんだなと。僕、そこで感動しました。それでナマコ、もうちょっと見てみようかなと思って。
神尾 今、言われていたみたいに、横の動きもそうなんですけど、結構縦にも動くんですよね。
今、言われていたみたいに、横の動きもそうなんですけど、結構縦にも動くんですよね。
山本 うんうん、のぼりますもんね。
うんうん、のぼりますもんね。
柿崎 そうですよね。のぼるのも、別にのぼろうと思ってないんですよね。
そうですよね。のぼるのも、別にのぼろうと思ってないんですよね。
神尾 そうですね。結果的にのぼってたという。
そうですね。結果的にのぼってたという。
柿崎 たまに、うちの水槽でも、岩からぶら下がっていたりするんですよ。
たまに、うちの水槽でも、岩からぶら下がっていたりするんですよ。
山本 へえー!可愛いー。
へえー!可愛いー。
柿崎 あいつは何をしに、あそこに行ったんだろうって。
あいつは何をしに、あそこに行ったんだろうって。
神尾 砂だけじゃなくて、結局、何かの有機物を食べるわけじゃないですか。なので、有機物がついてる網ものぼるんですよね。パラオに住んでいる頃、海中の網のチェックをしていると、深さ10メートルぐらいあるのに水面からちょっと下ぐらいまで来ていたりすることもあって。
砂だけじゃなくて、結局、何かの有機物を食べるわけじゃないですか。なので、有機物がついてる網ものぼるんですよね。パラオに住んでいる頃、海中の網のチェックをしていると、深さ10メートルぐらいあるのに水面からちょっと下ぐらいまで来ていたりすることもあって。
      ニセクロナマコだけじゃなくって、オオイカリナマコっていうのもいて、何かこう、ビトーッとくっついてるんですよ。
柿崎 オオイカリはね、排水溝に詰まりやすいんですよ。
オオイカリはね、排水溝に詰まりやすいんですよ。
神尾 あー、デカいし、あまり硬くないですもんね。
あー、デカいし、あまり硬くないですもんね。
柿崎 痛いじゃないですか、触って。
痛いじゃないですか、触って。
神尾 うんうん。本当に痛い。
うんうん。本当に痛い。
柿崎 オオイカリはね、詰まるんですよ。
オオイカリはね、詰まるんですよ。
神尾 詰まるんですよね。
詰まるんですよね。
柿崎 昔、沖縄の水族館にいた時に飼ってたことがあって、よく詰まるなと。
昔、沖縄の水族館にいた時に飼ってたことがあって、よく詰まるなと。
山本 たまたま詰まるんですか?
たまたま詰まるんですか?
柿崎 たまたまなのか、そこばっかり行っちゃって、詰まって、「あ、水、溢れそうになってる」とかって結構ありましたね。オオイカリは苦い思い出です。
たまたまなのか、そこばっかり行っちゃって、詰まって、「あ、水、溢れそうになってる」とかって結構ありましたね。オオイカリは苦い思い出です。
山本 苦い思い出。
苦い思い出。
柿崎 苦いナマコですね、あれは。
苦いナマコですね、あれは。

 
        柿崎 クロナマコって、何か、文字っぽいんです。
クロナマコって、何か、文字っぽいんです。
神尾 わからんでもない。
わからんでもない。
柿崎 ほかのナマコって、すごいカラフルとか、さっきのオオイカリじゃないですけど、すげー長いとか、何か特徴があるじゃないですか。クロナマコは、文字っぽい。
ほかのナマコって、すごいカラフルとか、さっきのオオイカリじゃないですけど、すげー長いとか、何か特徴があるじゃないですか。クロナマコは、文字っぽい。
山本 「つ」とか、そういうことですよね。
「つ」とか、そういうことですよね。
神尾 うんうん。
うんうん。
柿崎 そうそう…。縦に入ったら、あいつ、「I(アイ)」だなみたいな感じ…。
そうそう…。縦に入ったら、あいつ、「I(アイ)」だなみたいな感じ…。
神尾 ひらがなじゃなくて?
ひらがなじゃなくて?
山本 私もひらがなかと思った。
私もひらがなかと思った。
柿崎 いや、なんか、向き変えると「あ、何か文字変わったぞ」みたいな。形を変えると違う文字になるよみたいな。
いや、なんか、向き変えると「あ、何か文字変わったぞ」みたいな。形を変えると違う文字になるよみたいな。
神尾 あー。
あー。
柿崎 カラフルだと、どうしても色を見ちゃうんですけど。ましてや、あいつら、白いサンゴ礁とかに住んでるじゃないですか、砂浜の、何か海の文字みたいに。
カラフルだと、どうしても色を見ちゃうんですけど。ましてや、あいつら、白いサンゴ礁とかに住んでるじゃないですか、砂浜の、何か海の文字みたいに。
山本 オシャレ。
オシャレ。
神尾 それで言うと、ニセクロナマコってどうなるんですかね?文字に見えると言われれば、見える気がしなくもないんですけど。ただ、あれですよね。後ろのほうが、ちょっと太いじゃないですか。
それで言うと、ニセクロナマコってどうなるんですかね?文字に見えると言われれば、見える気がしなくもないんですけど。ただ、あれですよね。後ろのほうが、ちょっと太いじゃないですか。
柿崎 うん。
うん。
神尾 なので、あんまり綺麗な文字にならないかもしれないです。
なので、あんまり綺麗な文字にならないかもしれないです。
柿崎 クロナマコね、円筒形なんですよ。だからこう、グニャッと曲がると、うまいボールペン字みたいな。
クロナマコね、円筒形なんですよ。だからこう、グニャッと曲がると、うまいボールペン字みたいな。
神尾 ニセクロナマコは口のほうが細くて、後ろのほうはビョーンってなってるから…。
ニセクロナマコは口のほうが細くて、後ろのほうはビョーンってなってるから…。
柿崎 ニセクロナマコはイボ足とかも、こう、突起が結構長いじゃないですか。
ニセクロナマコはイボ足とかも、こう、突起が結構長いじゃないですか。
神尾 ありますね、はいはい…。
ありますね、はいはい…。
柿崎 なので、若干…、まあ、あまり言っちゃあれなんですけど、
なので、若干…、まあ、あまり言っちゃあれなんですけど、
      ちょっと雑といいますか…。
山本 やばい、ディスられた。
やばい、ディスられた。
神尾 あー、まあ、分からんでもないです、確かに、はい。
あー、まあ、分からんでもないです、確かに、はい。
柿崎 クロナマコのほうが若干スタイルがいいというか。スタイリッシュ。
クロナマコのほうが若干スタイルがいいというか。スタイリッシュ。
山本 あー、そうですね。
あー、そうですね。
神尾 でも、そんなにスタイリッシュなのになんで砂かぶっちゃうんですか?
でも、そんなにスタイリッシュなのになんで砂かぶっちゃうんですか?
柿崎 隠れてるんじゃないのかな?
隠れてるんじゃないのかな?
神尾 いや、隠れられてない。
いや、隠れられてない。
柿崎 いや、あのー、やさしいんですよ、彼らは、たぶん。
いや、あのー、やさしいんですよ、彼らは、たぶん。
山本 やさしい?
やさしい?
神尾 ほうほう…。
ほうほう…。
柿崎 武器を持たないナマコじゃないですか。
武器を持たないナマコじゃないですか。
神尾 あー、そうですね。
あー、そうですね。
山本 うんうん。
うんうん。
柿崎 クロナマコ科の仲間って、キュビエ器官という武器を持つ仲間が多いんですけど、クロナマコって、防御しか手段がないんですよ。
クロナマコ科の仲間って、キュビエ器官という武器を持つ仲間が多いんですけど、クロナマコって、防御しか手段がないんですよ。
神尾 確かに。
確かに。
柿崎 固まって防御するしかないんですよ。攻撃されると固くなるっていう。そういう意味で言うと、やっぱり、相手を攻撃しないやさしいやつなんですよ、たぶん。
固まって防御するしかないんですよ。攻撃されると固くなるっていう。そういう意味で言うと、やっぱり、相手を攻撃しないやさしいやつなんですよ、たぶん。
神尾 そこへいくとニセクロナマコは、ちょっと攻撃しますね。
そこへいくとニセクロナマコは、ちょっと攻撃しますね。
山本 そうですね、ちょっとパワフルですね。
そうですね、ちょっとパワフルですね。
神尾 一応、毒もある。
一応、毒もある。
山本 食べたことありますか?
食べたことありますか?
柿崎 食べたことないですね、はい。
食べたことないですね、はい。
神尾 ニセクロナマコを食べようとは思わないよね。
ニセクロナマコを食べようとは思わないよね。
山本 思わないですね。
思わないですね。
柿崎 可愛い生き物は食べないって決めてるんですよ。
可愛い生き物は食べないって決めてるんですよ。
神尾 美味しければ食べます。
美味しければ食べます。
柿崎 まぁ僕も食べますけど。海ヘ出ていくと、砂浜走ってるカニとか捕まえて食べますよ。
まぁ僕も食べますけど。海ヘ出ていくと、砂浜走ってるカニとか捕まえて食べますよ。
神尾 あー、まじですか。それ、大丈夫?…
あー、まじですか。それ、大丈夫?…

 
        神尾 でも、あれですよね。ニセクロナマコのほうが防衛機能は高い気がするんですよ。まず、キュビエ器官、あるじゃないですか。
でも、あれですよね。ニセクロナマコのほうが防衛機能は高い気がするんですよ。まず、キュビエ器官、あるじゃないですか。
柿崎 うん。
うん。
神尾 で、弱いけど毒がある。だから、ちゃんと自分の身を守ってる感じがするなって。
で、弱いけど毒がある。だから、ちゃんと自分の身を守ってる感じがするなって。
柿崎 でも、ニセクロナマコは柔らかいんですよ。
でも、ニセクロナマコは柔らかいんですよ。
山本 ・・・そうですね、触った感じは。
・・・そうですね、触った感じは。
神尾 確かに柔らかい、うん。
確かに柔らかい、うん。
柿崎 めちゃくちゃ柔らかいんですよ。だから、たぶん、どう猛な敵に当たったら、ちぎられやすいかなと。
めちゃくちゃ柔らかいんですよ。だから、たぶん、どう猛な敵に当たったら、ちぎられやすいかなと。
神尾 ちぎられたら、また増えるじゃないですか。
ちぎられたら、また増えるじゃないですか。
柿崎 当たり所が悪いと、死ぬ、そのまま…。
当たり所が悪いと、死ぬ、そのまま…。
神尾 ああ、まあ、当たり所が悪いとね、まあ、そうですね、確かにね、うーん。
ああ、まあ、当たり所が悪いとね、まあ、そうですね、確かにね、うーん。
柿崎 クロナマコは、柔らかいは柔らかいんですけど、触った感じ、ちょっと厚みがあるような感じで。
クロナマコは、柔らかいは柔らかいんですけど、触った感じ、ちょっと厚みがあるような感じで。
神尾 いや、でも場合によったらあれですよ。パチモンのほうが、ちょっと、おもしろかったりするじゃないですか。
いや、でも場合によったらあれですよ。パチモンのほうが、ちょっと、おもしろかったりするじゃないですか。
柿崎 うん、はい?
うん、はい?
山本 響いてない。
響いてない。
神尾 ニセクロナマコのほうがクロナマコより、しっかり黒いよねっていうことを前に話したことがあったんですよ、砂かぶってないぶんだけ。
ニセクロナマコのほうがクロナマコより、しっかり黒いよねっていうことを前に話したことがあったんですよ、砂かぶってないぶんだけ。
      プラス、キュビエ器官があって、毒があるっていうことで、防御力がちょっと高い気がする。
      生物界の中で、どっちかがどっちかを真似していると仮定した時に、クロナマコのほうが得してるんじゃないかと思って。
柿崎 ああ、なるほど。
ああ、なるほど。
神尾 クロナマコを見て「あ、こいつ、ニセクロナマコだ、じゃあ食ーべない」と間違う魚がいるとするじゃないですか。そう考えると、実はニセクロナマコをクロナマコが真似てるんじゃなかろうかなっていうことをね、ふと思ったんです。
クロナマコを見て「あ、こいつ、ニセクロナマコだ、じゃあ食ーべない」と間違う魚がいるとするじゃないですか。そう考えると、実はニセクロナマコをクロナマコが真似てるんじゃなかろうかなっていうことをね、ふと思ったんです。
柿崎 まあ、真似るまでもなかったんでしょうね、クロナマコは、たぶん。
まあ、真似るまでもなかったんでしょうね、クロナマコは、たぶん。
山本 うお、うおーっ。
うお、うおーっ。
神尾 うわ。
うわ。
柿崎 真似るまでもなく、別に攻撃されてもいいよみたいな勢いで生きてきたんじゃないかなと。
真似るまでもなく、別に攻撃されてもいいよみたいな勢いで生きてきたんじゃないかなと。
山本 やさしいんですかね。
やさしいんですかね。
神尾 やさしいんですか。
やさしいんですか。
柿崎 とりあえず岩の間に挟まっておきゃいいんじゃないのと。それで今、種が繁栄してるっていうことは、別に攻撃手段が必要じゃなかったということですから。
とりあえず岩の間に挟まっておきゃいいんじゃないのと。それで今、種が繁栄してるっていうことは、別に攻撃手段が必要じゃなかったということですから。
神尾 その攻撃手段が、そもそも役に立っているのかっていう話もありますよね。
その攻撃手段が、そもそも役に立っているのかっていう話もありますよね。
柿崎 カニとかに攻撃されて、キュビエ器官を吐き出して驚いたカニが去っていくとかっていうのは別に構わないんです。だけど、復活するまで半月ぐらいかかるじゃないですか。
カニとかに攻撃されて、キュビエ器官を吐き出して驚いたカニが去っていくとかっていうのは別に構わないんです。だけど、復活するまで半月ぐらいかかるじゃないですか。
神尾 そうですね。
そうですね。
柿崎 復活するまで15、6日かかかるわけだから、カニに1回、ワーッて攻撃されて、そのあと横からまたカニが出てきてたら、食われますよね。
復活するまで15、6日かかかるわけだから、カニに1回、ワーッて攻撃されて、そのあと横からまたカニが出てきてたら、食われますよね。
神尾 うん。えっ?
うん。えっ?
柿崎 だから、キュビエ器官は、攻撃手段としてはあんまり醸成されていないものじゃないかなと思います。一発屋みたいな。
だから、キュビエ器官は、攻撃手段としてはあんまり醸成されていないものじゃないかなと思います。一発屋みたいな。
神尾 一発ぐらいは守りましょうよ。
一発ぐらいは守りましょうよ。
山本 じゃあもし攻撃されても、クロナマコはじっとしてるだけっていうことですよね?
じゃあもし攻撃されても、クロナマコはじっとしてるだけっていうことですよね?
柿崎 じっとしてて、もうそろそろやめたら?みたいな。
じっとしてて、もうそろそろやめたら?みたいな。
山本 いらんやん、みたいな。
いらんやん、みたいな。
柿崎 もういいんじゃない?って。
もういいんじゃない?って。
神尾 ガンジーみたいな。
ガンジーみたいな。
山本 ガンジー…。
ガンジー…。
柿崎 そんな攻撃する前に、まず身を守ろうと。やさしい世界をつくろうよと、クロナマコは思ったんですよ。
そんな攻撃する前に、まず身を守ろうと。やさしい世界をつくろうよと、クロナマコは思ったんですよ。
神尾 いや、世界はやさしいかって言われると、そういうもんでもないじゃないですか。一応、防衛機能ぐらいはあったほうがいいかなと思うんですよね。戦わなきゃいけないときってあると思うんです。
いや、世界はやさしいかって言われると、そういうもんでもないじゃないですか。一応、防衛機能ぐらいはあったほうがいいかなと思うんですよね。戦わなきゃいけないときってあると思うんです。
山本 そうですね、戦って自分を守らなきゃいけないときもある。
そうですね、戦って自分を守らなきゃいけないときもある。

 
        山本 まあ、メジャー度というか、ナマコらしいのは、クロナマコかもですね。
まあ、メジャー度というか、ナマコらしいのは、クロナマコかもですね。
神尾 申し訳ないですけど、クロナマコですね。
申し訳ないですけど、クロナマコですね。
柿崎 勝ちました!
勝ちました!
一同(笑)
神尾 まあ、まあね。
まあ、まあね。
山本 名前でナマコっぽいのは、クロナマコでしょう。
名前でナマコっぽいのは、クロナマコでしょう。
神尾 ニセクロナマコはせっかくキュビエ器官あるのに、そもそも知らない人いるんですよね。
ニセクロナマコはせっかくキュビエ器官あるのに、そもそも知らない人いるんですよね。
柿崎 あー、知らない人いますよ。
あー、知らない人いますよ。
神尾 キュビエ器官を知らない人いるって思ってなかったので、ニセクロナマコはちょっと分(ぶ)が悪いかなと思ったんです。ナマコっていったら、キュビエ器官なのに。
キュビエ器官を知らない人いるって思ってなかったので、ニセクロナマコはちょっと分(ぶ)が悪いかなと思ったんです。ナマコっていったら、キュビエ器官なのに。
山本 うん、そういうイメージがリンクしてますよね。
うん、そういうイメージがリンクしてますよね。
神尾 だから、ニセクロナマコのほうが皆さんの思う「あ、ナマコですね」っていう感じになるのかと思ってたんです。でもキュビエ器官を分からない方に、それを言っても響かないですし、毒もありますって言っても、毒がないナマコのほうが多い。
だから、ニセクロナマコのほうが皆さんの思う「あ、ナマコですね」っていう感じになるのかと思ってたんです。でもキュビエ器官を分からない方に、それを言っても響かないですし、毒もありますって言っても、毒がないナマコのほうが多い。
柿崎 うん。
うん。
神尾 だからニセクロナマコのほうがメジャー感あるというのは、なかなか言いづらい状態になってるんです。
だからニセクロナマコのほうがメジャー感あるというのは、なかなか言いづらい状態になってるんです。
柿崎 あー、でも、地域性があると思います。南のほうに行けば行くほど、メジャー感があるのはニセクロナマコなんですよ。ナマコの認識度って地域性かなと思います。南のほうに住んでいる人間からすると、ナマコらしいナマコって、ニセクロナマコとかのほうがイメージが湧くかもしれないですね。
あー、でも、地域性があると思います。南のほうに行けば行くほど、メジャー感があるのはニセクロナマコなんですよ。ナマコの認識度って地域性かなと思います。南のほうに住んでいる人間からすると、ナマコらしいナマコって、ニセクロナマコとかのほうがイメージが湧くかもしれないですね。
神尾 ありがたいです、ありがたい。
ありがたいです、ありがたい。
柿崎 いやー、ほんとに、そう思います。地域性。
いやー、ほんとに、そう思います。地域性。
神尾 ちょっとニセクロナマコのセールスポイントが出なかったのでありがたい。
ちょっとニセクロナマコのセールスポイントが出なかったのでありがたい。

 
        山本 ニセクロナマコって、目線を合わせて、ずーっと口の動きを見たら、すごく時間が経っているときがありません?
ニセクロナマコって、目線を合わせて、ずーっと口の動きを見たら、すごく時間が経っているときがありません?
神尾 あります。口が一番動きますからね。
あります。口が一番動きますからね。
山本 そうですよね。で、口の動きばっかりに集中していたら、ウンチが出ているのを気付かなかったりするんですよね。
そうですよね。で、口の動きばっかりに集中していたら、ウンチが出ているのを気付かなかったりするんですよね。
神尾 で、ウンチ見るために、もう1回、そっちを見ていたら、時間かかりますよね。
で、ウンチ見るために、もう1回、そっちを見ていたら、時間かかりますよね。
山本 ね、何か、ほーみたいな、あらま、こっちも動いてるって、ずーっとひとりで。
ね、何か、ほーみたいな、あらま、こっちも動いてるって、ずーっとひとりで。
神尾 あと、移動ですよね。やっぱり、動くじゃないですか。それをずーっと、こう、見てると面白い。
あと、移動ですよね。やっぱり、動くじゃないですか。それをずーっと、こう、見てると面白い。
柿崎 うんうん。
うんうん。
神尾 この感じで写真撮って欲しいんですね。
この感じで写真撮って欲しいんですね。
山本 ちょっと気持ち悪いですけどね。
ちょっと気持ち悪いですけどね。
神尾 うん、それがいいじゃないですか。あと触手の真ん中に、穴があるんですよ。この穴も全部含めて、バカッとなったところをうまいこと撮ろうと思うと、結構時間がかかるんで。
うん、それがいいじゃないですか。あと触手の真ん中に、穴があるんですよ。この穴も全部含めて、バカッとなったところをうまいこと撮ろうと思うと、結構時間がかかるんで。
柿崎 ああ、かかるかもしれないですね。
ああ、かかるかもしれないですね。
神尾 あと、ウンチ出なくて、水だけ出るときがあるじゃないですか。
あと、ウンチ出なくて、水だけ出るときがあるじゃないですか。
柿崎 水、吐き出しますね。
水、吐き出しますね。
神尾 あれが面白いですね。
あれが面白いですね。
山本 うん、びっくりしますよ、ぼーっと見てたら。
うん、びっくりしますよ、ぼーっと見てたら。
柿崎 あれは、吸って吸ってを繰り返すんですよ、彼らは呼吸のために、海水を取り入れるじゃないですか。ケツの穴っていうのが、ケツでいいですか?
あれは、吸って吸ってを繰り返すんですよ、彼らは呼吸のために、海水を取り入れるじゃないですか。ケツの穴っていうのが、ケツでいいですか?
山本 大丈夫です。
大丈夫です。
柿崎 お尻。
お尻。
神尾 肛門。
肛門。
柿崎 肛門。お尻がですね。
肛門。お尻がですね。
神尾 ケツにしましょうか。
ケツにしましょうか。
柿崎 お尻の穴が、こう、開いたり閉じたり、ちゃーんと、吸い込んで吸い込んでって繰り返して。で、吸い込みきったら、バッと出すんですよね、バフォーと。それを繰り返すんです。お尻から水を入れて、こう、海水の入れ替えですね。
お尻の穴が、こう、開いたり閉じたり、ちゃーんと、吸い込んで吸い込んでって繰り返して。で、吸い込みきったら、バッと出すんですよね、バフォーと。それを繰り返すんです。お尻から水を入れて、こう、海水の入れ替えですね。
神尾 ポーンと出す。
ポーンと出す。
柿崎 水を出す瞬間も気持ちいいんですけど、水槽に潜って掃除するときに、やたら、お尻の穴を動かすじゃないですか。
水を出す瞬間も気持ちいいんですけど、水槽に潜って掃除するときに、やたら、お尻の穴を動かすじゃないですか。
神尾 動かしますね、うん。
動かしますね、うん。
柿崎 うん。なので潜水作業のときに、お尻にちょっと、砂を乗っけてたんですよ。
うん。なので潜水作業のときに、お尻にちょっと、砂を乗っけてたんですよ。
神尾 ああ、やってたんですか。はいはい。
ああ、やってたんですか。はいはい。
柿崎 お尻、これ、海水を出す瞬間に、ボッと、自分の方向に砂が飛んでいくんじゃないかなって。で、砂乗っけてたら、たまにバッと出てくるんですよね。
お尻、これ、海水を出す瞬間に、ボッと、自分の方向に砂が飛んでいくんじゃないかなって。で、砂乗っけてたら、たまにバッと出てくるんですよね。
神尾 はいはい。それは、なかなか。
はいはい。それは、なかなか。
山本 楽しいですか?
楽しいですか?
柿崎 そうですね。
そうですね。
神尾 うん、気持ちは分かる気がする。
うん、気持ちは分かる気がする。

 
        神尾 京都水族館では、チンアナゴがたくさんいる所にニセクロナマコがいるんですよ。でも、完全に脇役扱いされてるんです。
京都水族館では、チンアナゴがたくさんいる所にニセクロナマコがいるんですよ。でも、完全に脇役扱いされてるんです。
山本 邪魔なんですよ、ねえ。
邪魔なんですよ、ねえ。
神尾 え?どっちが?
え?どっちが?
山本 ニセクロナマコが。みんなチンアナゴを見てるのに、こうやって壁をこうのぼってたり、いや、お前邪魔だろうと。そういうところも可愛かったりして(笑)。それ、分かりません?
ニセクロナマコが。みんなチンアナゴを見てるのに、こうやって壁をこうのぼってたり、いや、お前邪魔だろうと。そういうところも可愛かったりして(笑)。それ、分かりません?
神尾 それはフォローしてる?
それはフォローしてる?
山本 フォローしてる。なんか、あー目立ちたいんだなって。
フォローしてる。なんか、あー目立ちたいんだなって。
神尾 前、写真撮ったときに、ニセクロナマコが前にいて、後ろのほうにチンアナゴがいたんですよ。ちょっとチンアナゴがボヤけてるぐらいの感じに撮れたときが、いい写真が撮れたなと思って。
前、写真撮ったときに、ニセクロナマコが前にいて、後ろのほうにチンアナゴがいたんですよ。ちょっとチンアナゴがボヤけてるぐらいの感じに撮れたときが、いい写真が撮れたなと思って。
柿崎 ああ、なるほど。
ああ、なるほど。
神尾 このね、後ろでチンアナゴがちょっとボヤけた感じで見えると、これは面白いじゃんっていう。
このね、後ろでチンアナゴがちょっとボヤけた感じで見えると、これは面白いじゃんっていう。
柿崎 なるほど。チンアナゴって、言ってしまえば主役級ですよね。
なるほど。チンアナゴって、言ってしまえば主役級ですよね。
山本 うん、メジャーですよね。
うん、メジャーですよね。
柿崎 その主役級の所にいたほうが、こいつら、なんでチンアナゴの横にいられるの?みたいな。
その主役級の所にいたほうが、こいつら、なんでチンアナゴの横にいられるの?みたいな。
神尾 名脇役みたいな感じで。
名脇役みたいな感じで。
柿崎 そうそう…。チンアナゴ水槽って、他の生き物を入れると、やっぱりちょっと飼いづらくなるじゃないですか。チンアナゴたちも、出て来るきっかけもだいぶ少なくなってきちゃう。
そうそう…。チンアナゴ水槽って、他の生き物を入れると、やっぱりちょっと飼いづらくなるじゃないですか。チンアナゴたちも、出て来るきっかけもだいぶ少なくなってきちゃう。
山本 そうですね。
そうですね。
柿崎 そんな中、ナマコ様はですよ。
そんな中、ナマコ様はですよ。
神尾 様。
様。
山本 様。
様。
柿崎 チンアナゴの横にいられるんですよ。
チンアナゴの横にいられるんですよ。
神尾 横におられるんですね。
横におられるんですね。
柿崎 スターの横に。
スターの横に。
神尾 横に。
横に。
柿崎 そんな生き物、そうそういませんよね。
そんな生き物、そうそういませんよね。
神尾 いませんよ。
いませんよ。
柿崎 だから、壁をのぼってらっしゃっても、別にかまわないんです。
だから、壁をのぼってらっしゃっても、別にかまわないんです。
山本 らっしゃる。
らっしゃる。
神尾 らっしゃる。
らっしゃる。
柿崎 でも、すごいなと思うのは、そういう所に入ったほうが、聞かれるんですよね、これ何ですかって。
でも、すごいなと思うのは、そういう所に入ったほうが、聞かれるんですよね、これ何ですかって。
神尾 はいはい。
はいはい。
柿崎 だから、セット商品になるみたいな。
だから、セット商品になるみたいな。
神尾 抱き合わせみたいな。
抱き合わせみたいな。
柿崎 ナマコさんが、抱き合わせになる。
ナマコさんが、抱き合わせになる。
神尾 すごいですね。私、すみだ水族館のナマコのいる水槽が大好きなんですよ。
すごいですね。私、すみだ水族館のナマコのいる水槽が大好きなんですよ。
柿崎 ああ、サンゴの。
ああ、サンゴの。
神尾 そう、あのサンゴの感じも。
そう、あのサンゴの感じも。
山本 うん。
うん。
神尾 なんかちょっと懐かしいというか。この感じ、いいなあっていう。
なんかちょっと懐かしいというか。この感じ、いいなあっていう。
柿崎 あー、確かに。うん。
あー、確かに。うん。

 
        柿崎 ナマコが急に向きを変える瞬間って、よくないですか?僕、好きなんですよ。
ナマコが急に向きを変える瞬間って、よくないですか?僕、好きなんですよ。
神尾 あー、分かります、それ、すごいよく分かる。
あー、分かります、それ、すごいよく分かる。
柿崎 なんで?と思って。
なんで?と思って。
山本 何があった?っていう。
何があった?っていう。
柿崎 モニョモニョは、ゆっくりじゃないですか。ゆっくりはってるけど、いきなり向き変えるときって、すごい勢いで変えるので、おーおー、どうしたってなるでしょう。だから、その瞬間を探すのって、結構好きです。
モニョモニョは、ゆっくりじゃないですか。ゆっくりはってるけど、いきなり向き変えるときって、すごい勢いで変えるので、おーおー、どうしたってなるでしょう。だから、その瞬間を探すのって、結構好きです。
神尾 結構レアじゃないです?
結構レアじゃないです?
山本 結構ね。
結構ね。
神尾 「何があったの、今?」っていう。岩には気付かずに、そのままのぼっちゃうぐらいなのに。平地でありますもんね、これね。
「何があったの、今?」っていう。岩には気付かずに、そのままのぼっちゃうぐらいなのに。平地でありますもんね、これね。
柿崎 岩にのぼるときとかだったら分かるんですけど、砂の上ではってるときに、なんで急にこっち行こうとしたみたいな。
岩にのぼるときとかだったら分かるんですけど、砂の上ではってるときに、なんで急にこっち行こうとしたみたいな。
神尾 うんうん…。
うんうん…。
柿崎 その瞬間がね、すごくいいです。形が変わるって。
その瞬間がね、すごくいいです。形が変わるって。
神尾 形が変わる。
形が変わる。
柿崎 いつも、こう、I(アイ)じゃないですか。
いつも、こう、I(アイ)じゃないですか。
山本 うんうん。I、I。
うんうん。I、I。
神尾 Iですね、はい、Iですわ。
Iですね、はい、Iですわ。
柿崎 Iじゃないですか。そういう感じでね、いきなり、こう、L(エル)になるみたいな。
Iじゃないですか。そういう感じでね、いきなり、こう、L(エル)になるみたいな。
神尾 U(ユー)にもなるし。
U(ユー)にもなるし。
山本 Gにもなる。
Gにもなる。
柿崎 そう、なんか、その角度、なんでそうなったのみたいな。ただ寝そべってるだけじゃないんだと。
そう、なんか、その角度、なんでそうなったのみたいな。ただ寝そべってるだけじゃないんだと。
神尾 そうですね。ちゃんと生きてる。
そうですね。ちゃんと生きてる。
山本 動いてる。
動いてる。
柿崎 そうそう…、生きてるなと。
そうそう…、生きてるなと。
神尾 私はやっぱり、水質をきれいにするっていう、結果的にはそこにフォーカスされるのがナマコ冥利に尽きるのかなと思うんですよ。
私はやっぱり、水質をきれいにするっていう、結果的にはそこにフォーカスされるのがナマコ冥利に尽きるのかなと思うんですよ。
山本 はいはい。
はいはい。
神尾 サンゴ礁って、海の中の0.2%ぐらいしかなく、そこに海の生物の25%が住んでいると言われている。そのサンゴが生きているということは、透明度が高くなきゃいけない。
サンゴ礁って、海の中の0.2%ぐらいしかなく、そこに海の生物の25%が住んでいると言われている。そのサンゴが生きているということは、透明度が高くなきゃいけない。
柿崎 うん。
うん。
神尾 魚がたくさん集中しているところでも、ウンチをした先できれいな状態に戻してくれるナマコがいるお陰で、海の中の生態系ですごく重要なサンゴ礁というものが出来上がっている。というところに思いをはせながらナマコを見るというのが好きです。
魚がたくさん集中しているところでも、ウンチをした先できれいな状態に戻してくれるナマコがいるお陰で、海の中の生態系ですごく重要なサンゴ礁というものが出来上がっている。というところに思いをはせながらナマコを見るというのが好きです。
山本 奥深いですね。
奥深いですね。
柿崎 いや、確かに分かりますよ。
いや、確かに分かりますよ。
神尾 ですよね、ですよね。
ですよね、ですよね。
柿崎 ナマコも魚のおこぼれがないと生きていけないし、ただ、おこぼれだけが残っちゃうと、結果的に自然は汚れていく。
ナマコも魚のおこぼれがないと生きていけないし、ただ、おこぼれだけが残っちゃうと、結果的に自然は汚れていく。
神尾 そうです。
そうです。
柿崎 そのバランサーみたいな、ナマコって。
そのバランサーみたいな、ナマコって。
神尾 そういうの、ちょっと可愛いなって。
そういうの、ちょっと可愛いなって。
柿崎 いい感じに目立たないし。
いい感じに目立たないし。
神尾 目立たない。
目立たない。
柿崎 自然にいると目立たない。
自然にいると目立たない。
山本 でも、おまえらがいないとって。
でも、おまえらがいないとって。
神尾 あと、何かこう、愛らしいのって、別にやろうとしているわけじゃない。たまたまなっているだけで、考えていない感じがいい。
あと、何かこう、愛らしいのって、別にやろうとしているわけじゃない。たまたまなっているだけで、考えていない感じがいい。
山本 きれいにするぞーみたいな感じじゃないですもんね。
きれいにするぞーみたいな感じじゃないですもんね。
神尾 じゃないです。ただ、自分が食べたいものを食べているだけ。
じゃないです。ただ、自分が食べたいものを食べているだけ。
柿崎 そうそう。
そうそう。
神尾 何かその辺の感じが。
何かその辺の感じが。
山本 分かるー。
分かるー。
神尾 別に掃除する気でやっているわけじゃないですよ。
別に掃除する気でやっているわけじゃないですよ。
柿崎 うん。結果、掃除したみたいな。
うん。結果、掃除したみたいな。
柿崎 うん。いいですよね。なんか最近、モップ付きのスリッパみたいな感じがする。
うん。いいですよね。なんか最近、モップ付きのスリッパみたいな感じがする。
山本 確かに似てる。えっ、ニセクロナマコに似てません?あれ黒かったら。
確かに似てる。えっ、ニセクロナマコに似てません?あれ黒かったら。
柿崎 確かに。
確かに。
山本 グッズいいんじゃないですか?
グッズいいんじゃないですか?
柿崎 ナマコスリッパ。
ナマコスリッパ。
山本 私、買いますよ、たぶん。
私、買いますよ、たぶん。
神尾 ああー。
ああー。
山本 あとナマコをずっと見ていたら、ウンチ、めっちゃきれいなウンチのときないですか?
あとナマコをずっと見ていたら、ウンチ、めっちゃきれいなウンチのときないですか?
柿崎 とぐろ?
とぐろ?
山本 とぐろになるときないですか?
とぐろになるときないですか?
神尾 ああ、あるある。
ああ、あるある。
山本 あれ、びっくりしません?おまえがやったの?ってなりません?
あれ、びっくりしません?おまえがやったの?ってなりません?
神尾 ならない。
ならない。
山本 あれ、そんな?
あれ、そんな?
柿崎 海の中だとウンチが結構デカい。ウンチの輪っかがこう積み重なって。
海の中だとウンチが結構デカい。ウンチの輪っかがこう積み重なって。
山本 むしろ魚よりそっちを写真撮るときないですか?
むしろ魚よりそっちを写真撮るときないですか?
神尾 ある。
ある。
山本 ありますよね!
ありますよね!
神尾 うん。ダイビングするときに写真撮っている、確かに。
うん。ダイビングするときに写真撮っている、確かに。
山本 しかもナマコのこと忘れてウンチしか撮らなくないですか?
しかもナマコのこと忘れてウンチしか撮らなくないですか?
神尾 ウンチしか撮らない。
ウンチしか撮らない。
山本 そういうところも可愛くないですか?忘れられるという。
そういうところも可愛くないですか?忘れられるという。
柿崎 ナマコのウンチで言うと、砂の塊とはいえ、確かにいろんな形状あって、基本は数珠じゃないですか?
ナマコのウンチで言うと、砂の塊とはいえ、確かにいろんな形状あって、基本は数珠じゃないですか?
神尾 うんうん。
うんうん。
柿崎 たまに直線。
たまに直線。
山本 ありますね。
ありますね。
神尾 あります、あります、あります。
あります、あります、あります。
柿崎 たまにすごい飛ばすやつがいますよ。
たまにすごい飛ばすやつがいますよ。
神尾 飛ぶんですか?
飛ぶんですか?
柿崎 飛ぶんです。
飛ぶんです。
山本 ええっ?
ええっ?
柿崎 こう、ピュッてポーンってやるときに、結構遠くまで飛ぶやつがいる(笑)
こう、ピュッてポーンってやるときに、結構遠くまで飛ぶやつがいる(笑)
神尾 マジですか?
マジですか?
山本 可愛い(笑)
可愛い(笑)
柿崎 だから、ウンチパターンも見ている。
だから、ウンチパターンも見ている。
山本 ウンチパターン面白いですよね。
ウンチパターン面白いですよね。
柿崎 人によって違うというか。
人によって違うというか。
神尾 ナマコによってね。
ナマコによってね。
山本 その瞬間でも違いますもんね。
その瞬間でも違いますもんね。

 
        山本 今までなかなかこうやってナマコについて話すこと、なかったですよね。
今までなかなかこうやってナマコについて話すこと、なかったですよね。
神尾 というか。
というか。
山本 初めてですよね。
初めてですよね。
柿崎 やっぱり、あんまり主役というイメージがないし。
やっぱり、あんまり主役というイメージがないし。
神尾 そうですね。
そうですね。
柿崎 見たら面白いけど、じっくり見てねという機会って、たぶん我々はなかったんじゃないかなと。
見たら面白いけど、じっくり見てねという機会って、たぶん我々はなかったんじゃないかなと。
神尾 うん。なかなかフォーカスしづらいですもんね。
うん。なかなかフォーカスしづらいですもんね。
柿崎 京都水族館でも、チンアナゴの水槽にニセクロナマコが2匹いるとしても、チンアナゴ見てねって言いません?
京都水族館でも、チンアナゴの水槽にニセクロナマコが2匹いるとしても、チンアナゴ見てねって言いません?
山本 言いますね。
言いますね。
神尾 言いますね。
言いますね。
柿崎 たとえばマガキガイとかと一緒にお掃除屋さんというグループで紹介することはあっても、なかなかナマコ…。
たとえばマガキガイとかと一緒にお掃除屋さんというグループで紹介することはあっても、なかなかナマコ…。
神尾 単品で。
単品で。
山本 オンリーで。
オンリーで。
柿崎 なかなかないんで。食文化としても珍味とかのレベルだから、なかなか馴染まない。
なかなかないんで。食文化としても珍味とかのレベルだから、なかなか馴染まない。
神尾 もうひと声あげてくれても、うん。
もうひと声あげてくれても、うん。
柿崎 そうそうそう。すみだ水族館もそんな感じです。でもお客さんにとって気になる存在ではあるんですよ、これ何ですかって必ず聞かれるんです。
そうそうそう。すみだ水族館もそんな感じです。でもお客さんにとって気になる存在ではあるんですよ、これ何ですかって必ず聞かれるんです。
神尾 これ何ですか?って、すごいですね。
これ何ですか?って、すごいですね。
山本 ナマコですって言うんですか?
ナマコですって言うんですか?
柿崎 ナマコですと。そう答えると、えーナマコなんだみたいな。やっぱりとか。
ナマコですと。そう答えると、えーナマコなんだみたいな。やっぱりとか。
山本 うんうん。
うんうん。
柿崎 やっぱりって何?みたいな。
やっぱりって何?みたいな。
神尾 だったら、ナマコですかって聞いてほしい。
だったら、ナマコですかって聞いてほしい。
柿崎 (笑)そう。
(笑)そう。
神尾 ナマコの魅力を伝えるって、難しいですよね。ずっと説明してたら、ひかれそうですもん。
ナマコの魅力を伝えるって、難しいですよね。ずっと説明してたら、ひかれそうですもん。
柿崎 (笑)まあね。
(笑)まあね。
神尾 飼育スタッフの中でナマコの話になった時も、途中でひかれたもん。
飼育スタッフの中でナマコの話になった時も、途中でひかれたもん。
柿崎 ありますよね、もうおなかいっぱいですみたいな。
ありますよね、もうおなかいっぱいですみたいな。
神尾 その感じを乗り越えて、私の愛するいきもの展に来ていただいた方にも、こういう面白いとこあるんだ、ということを知ってもらいたいと思います。
その感じを乗り越えて、私の愛するいきもの展に来ていただいた方にも、こういう面白いとこあるんだ、ということを知ってもらいたいと思います。
山本 簡潔に伝えたいですよね、何かひとつでも持ち帰ってほしいですよね。
簡潔に伝えたいですよね、何かひとつでも持ち帰ってほしいですよね。
柿崎 ひとつですよね。
ひとつですよね。
山本 ひとつでいいんですよ。
ひとつでいいんですよ。
柿崎 全部ではないんですよね、ひとつなんですよね。
全部ではないんですよね、ひとつなんですよね。
山本 そうなんですよ。
そうなんですよ。
柿崎 なんかナマコいいよね、みたいな。高校生のカップルが来たときに、ここに来るとナマコ見ちゃうんだよね、みたいな。
なんかナマコいいよね、みたいな。高校生のカップルが来たときに、ここに来るとナマコ見ちゃうんだよね、みたいな。
神尾 僕と山本は、普段の業務はイルカやオットセイたちを担当してるから、突然ナマコの話をするのも不自然なんですけど笑。
僕と山本は、普段の業務はイルカやオットセイたちを担当してるから、突然ナマコの話をするのも不自然なんですけど笑。
一同(笑)
神尾 水族館には、パッと見て、キレイ!とかカワイイ!っていういきものがいるわけじゃないですか。でも、クロナマコとかニセクロナマコって、パッと見でいうと何もない。であるがゆえに、裏にある知識とか情報とかを知ってもらうと、より楽しめるのかなって。
水族館には、パッと見て、キレイ!とかカワイイ!っていういきものがいるわけじゃないですか。でも、クロナマコとかニセクロナマコって、パッと見でいうと何もない。であるがゆえに、裏にある知識とか情報とかを知ってもらうと、より楽しめるのかなって。
柿崎 ここは触っちゃだめだよねとかって、なんかそういう愛情を持てるようになるんじゃないかなと。水槽を見てても「ナマコじゃん」から、おまえはどこに行くんだみたいな。ちょっと違う感情が生まれるみたいな。今回、僕らが話したようなことが、展示ブースに出るんで、お客さまもちょっと愛情が持てるんじゃないかなと。
ここは触っちゃだめだよねとかって、なんかそういう愛情を持てるようになるんじゃないかなと。水槽を見てても「ナマコじゃん」から、おまえはどこに行くんだみたいな。ちょっと違う感情が生まれるみたいな。今回、僕らが話したようなことが、展示ブースに出るんで、お客さまもちょっと愛情が持てるんじゃないかなと。
神尾 そうですね。
そうですね。
山本 ただ見るだけじゃない、雑味というか。
ただ見るだけじゃない、雑味というか。
柿崎 ちょっと見る視点が変わるんじゃないかなと。
ちょっと見る視点が変わるんじゃないかなと。
神尾 実は偉いんだな、っていう感じまでいってもらえるとありがたいですよね。
実は偉いんだな、っていう感じまでいってもらえるとありがたいですよね。
柿崎 おまえら、偉いなと。
おまえら、偉いなと。
神尾 やる気ないけど、ちゃんと仕事してるんだっていう感じが分かっていただけると嬉しいなと思います。
やる気ないけど、ちゃんと仕事してるんだっていう感じが分かっていただけると嬉しいなと思います。
柿崎 消灯しても、電気消えても動いてますからね。
消灯しても、電気消えても動いてますからね。
山本 そうですね(笑)
そうですね(笑)
柿崎 夜中でも働いてるよと。すごいねと。
夜中でも働いてるよと。すごいねと。
神尾 すごいねと(笑)
すごいねと(笑)
山本 みんなが寝てる間にね。
みんなが寝てる間にね。
柿崎 そうそう、そうそう。
そうそう、そうそう。

 
        山本 楽しかったです。1時間、あっと言う間でした。
楽しかったです。1時間、あっと言う間でした。
柿崎 意外とこの話で酒飲めそうですね。
意外とこの話で酒飲めそうですね。
神尾 いけますね。
いけますね。
山本 (笑)まだまだいけそうですね。
(笑)まだまだいけそうですね。
神尾 いけると思う。この感じでいけますね。
いけると思う。この感じでいけますね。
柿崎 ナマコをつまみにって、どっちの意味か分かんないですけど(笑)
ナマコをつまみにって、どっちの意味か分かんないですけど(笑)
山本 (笑)ナマコをつまみに。
(笑)ナマコをつまみに。
神尾 どっちの意味でもいけそうですよね。
どっちの意味でもいけそうですよね。
柿崎 ナマコをね、話のネタに、肴にするのか分かんないですけど。
ナマコをね、話のネタに、肴にするのか分かんないですけど。
山本 初めてです、こんな、ナマコについて1時間も雑談をしたのが。
初めてです、こんな、ナマコについて1時間も雑談をしたのが。
神尾 でもね…、言っていい?
でもね…、言っていい?
山本 はい。
はい。
神尾 楽しい。
楽しい。
一同(笑)
柿崎 普段見る分野もちょっと違ってたり。
普段見る分野もちょっと違ってたり。
神尾 そうなんですよね。
そうなんですよね。
柿崎 お互いに会話すると、見方がちょっと違うなとか出てくるんですよ。そこまで見てなかったよとか、そういう視点も提供できるっていうのがすごいなと思いますよね。
お互いに会話すると、見方がちょっと違うなとか出てくるんですよ。そこまで見てなかったよとか、そういう視点も提供できるっていうのがすごいなと思いますよね。
神尾 いろいろ話してる中でも、あ、そうなんだ…、へえーっていうところがあって、もう一歩、ナマコ道を極めようかなっていう感じになりますね。
いろいろ話してる中でも、あ、そうなんだ…、へえーっていうところがあって、もう一歩、ナマコ道を極めようかなっていう感じになりますね。
山本 うん。
うん。
柿崎 あらためて、もうちょっと考えようとか、いろいろ生まれますよね。
あらためて、もうちょっと考えようとか、いろいろ生まれますよね。
神尾 そうですね、確かに。
そうですね、確かに。
山本 感謝の気持ちが生まれます。
感謝の気持ちが生まれます。
柿崎 感謝はする。今日、太ってるね、とか。
感謝はする。今日、太ってるね、とか。
山本 頑張ったのねって。(笑)
頑張ったのねって。(笑)
柿崎 ナマコに何が合いますかね。
ナマコに何が合いますかね。
神尾 酒ですか?
酒ですか?
柿崎 酒、種類。
酒、種類。
神尾 いやー、泡盛じゃないですか?
いやー、泡盛じゃないですか?
山本 え、泡盛って言いました?
え、泡盛って言いました?
柿崎 僕はシュワシュワのほうがいいです。
僕はシュワシュワのほうがいいです。
神尾 最近ね、でも、シュワシュワのやつはね、あんまりあれですよ。ちょっと控えようかなと思って、最近ハイボールに…。なんの話してるんですか?
最近ね、でも、シュワシュワのやつはね、あんまりあれですよ。ちょっと控えようかなと思って、最近ハイボールに…。なんの話してるんですか?
山本 シュワシュワじゃないですか。
シュワシュワじゃないですか。
一同(笑)
神尾 じゃ、今度、ナマコで一杯やりましょう。
じゃ、今度、ナマコで一杯やりましょう。
柿崎 そうですね。
そうですね。
山本 はい、よろしくお願いします。
はい、よろしくお願いします。





