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2025.07.18
クラゲワンダー研究部員の観察日誌
/コブエイレネクラゲ編
2020年に誕生した「クラゲワンダー」。ここでは約30種類のクラゲたちと出会うことができます。
多種多様な特徴を持つクラゲたち、それぞれのクラゲの見どころを知ることで、お気に入りのクラゲが見つかるかもしれません。
だれも予想していなかった出現
コブエイレネクラゲは自然界ではなく、水族館の水槽の中で初めて発見されたという異色の経歴を持つクラゲです。約30年前に三重県にある鳥羽水族館の水槽内でクラゲが泳いでいるところを発見されのちに新種と判明しました。
【コブエイレネクラゲ 直径3㎝ほどで透明の小さなクラゲです】
それから長きにわたり自然界で発見できず、謎多きクラゲとして知られていました。新種として発見されてからは、繁殖が活発に行われ、ポリプ(受精卵からイソギンチャクのようになった状態)が盛んに水族館同士で交換されたことで、謎多きクラゲでありながら日本全国の水族館で見られるクラゲでもあります。
【ポリプから遊離する直前のコブエイレネクラゲ】
まさかの発見!真相は登録間違い
そんなコブエイレネクラゲですが、近年自然界での生息地が判明しました。お隣の中国で採集されていることが分かりましたが、長い間よく似た別のクラゲとして遺伝子情報が登録されていたため自然界未発見のクラゲとして名をはせることとなりました。「なんじゃそりゃ!」と思ってしまうような結末かもしれませんが、クラゲにおいてはありがちなことでもあります。
【←左がコブエイレネクラゲ/右のギヤマンクラゲのなかまとして登録されていました→】
というのもクラゲは分類の見直しによって新しい種類として登録されたり、よく似ていて区別がつかず同じクラゲとして登録されたものが後に別のクラゲとして登録し直されたりします。とはいえ、謎多きクラゲとして30年もの間誰にも気づかれなかった真相にようやくたどり着いたのはクラゲ業界でも非常に大きなニュースとなりました。
コブエイレネクラゲならコブはどこ?
コブエイレネクラゲを読み上げるとき、区切る場所に苦戦している方をよくお見掛けしますが、正しくはコブ、エイレネクラゲです。同じマツバクラゲ科に属するエイレネクラゲというクラゲのコブ有りバージョンという意味です。
では気になるのはやはりコブの存在ですよね。実は非常に見づらいですがコブエイレネクラゲの口元、傘の内側の中央辺りにある口に透明のコブがあります。
【←顕微鏡で見たコブエイレネクラゲ/エイレネクラゲ→】
左のコブエイレネクラゲの中央の口元がポコポコと4方向に盛り上がっているのが分かりますか?他には触手の本数もちがい、触手が多いのがコブエイレネクラゲの特徴です。
【コブエイレネクラゲの口をアップにした写真】
成長した直径3㎝ほどのコブエイレネクラゲであれば、目を凝らすと肉眼でも小さな透明のコブがあるのを感じることができます。せっかくのチャームポイントですので、コブエイレネクラゲを観察する際にはぜひ注目してみてはいかがでしょうか。
【コブエイレネクラゲの成長】