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2025.11.11
クラゲワンダー研究部員の観察日誌
/シロクラゲ編
2020年に誕生した「クラゲワンダー」。ここでは約30種類のクラゲたちと出会うことができます。
多種多様な特徴を持つクラゲたち。それぞれの見どころを知ることで、お気に入りのクラゲが見つかるかもしれません。
北からやってきた、可憐なクラゲ
傘の縁から短い触手を漂わせ、小型の水槽を回る儚げなクラゲ。それが「シロクラゲ」です。冷たい水域を好むクラゲで、日本国内では東北地方よりも北の地域に生息しています。
英語では「Umbrella jellyfish(傘のクラゲ)」と呼ばれ、横から見るとやや丸みを帯びた三角形をしており、中央に伸びる口の部分を持ち手に見立てると、さながら傘のようです。直径3㎝ほどの小さな体で水槽の中をふわふわと舞う姿は、非常に可憐で涼しげな印象です。
【ふわふわ漂うシロクラゲ】
シロクラゲの運命(さだめ)
シロクラゲは繁殖が比較的容易で、稚クラゲが大量発生することがあります。また大人になっても大きさが3㎝ほどと手頃なため、クラゲを食べるクラゲのごはんとしてしばしば用いられます。大きく育ったシロクラゲは非常に人気があり、アマクサクラゲやオワンクラゲなどに丸飲みにされてしまいます。
赤ちゃんの頃から育てた身としては複雑な思いもありますが、たくさんのクラゲたちの命を繋ぐ糧となり、重要な使命を果たしていると思います。
また、わたしたち人間の食用として「シロクラゲ」という名前で流通しているクラゲがありますが、このコラムに登場するシロクラゲとは別の種類です。
食用の「シロクラゲ」とはヒゼンクラゲの流通名で、直径50㎝ほどになる大きなクラゲです。同じく食用の「アカクラゲ」もビゼンクラゲの流通名で、それぞれ色味が赤っぽい、白っぽいことから呼ばれているようですが、少し紛らわしいですね。
流氷とともにやってくる白き天使?
シロクラゲは美しく透き通った傘をしており、その名前の由来が気になるところです。大人のシロクラゲの傘の内側には、十字型に位置するリボン状の器官(生殖腺という卵や精子を作る器官)があり、この生殖腺の色の白さが名前の由来となっています。
立派に成熟し波打った生殖腺はフリルに例えられることが多いですが、横から見ると天使が左右の翼を下ろしているようにも見えます。
自然界では、シロクラゲは流氷が来る季節にも見られることがあるそうです。
京都水族館では「流氷の天使」ことクリオネを見ることはできませんが、「新生・流氷の天使」としてシロクラゲを楽しんでみるのはいかがでしょうか。
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