コラム
育て!いくらちゃん2025 今年はいくらちゃんがいない!? その理由を伝える、特別な展示を開催しました。
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2025年1月9日(木)~3月15日(土)までの約2か月間、京都水族館の「京の川」エリアにて開催した冬の恒例展示「育て!いくらちゃん」。
この展示は、身近ないきものであるサケに親しみを持ち、その生態や自然環境との関係について楽しく学べる企画として2014年にスタートし、今回で記念すべき10回目となりました。
毎年、卵からふ化したばかりの「いくらちゃん」が成長していく姿をお届けしてきましたが、今年は少しようすが異なりました。
なんと、「いくらちゃん」がいなかったのです。では、なぜ「いくらちゃん」はいなかったのか?
今回の展示では、その理由も含めて来館者のみなさまにわかりやすくお伝えすることを目的に、これまでと異なる視点でサケの展示を行いました。
■なぜ卵から育てられなかったの?
今年は稚魚からの展示に
これまでの展示では、「サケのふるさと由良川を守る会」から一時的にサケの卵を放流まで譲り受け、ふ化から成長までの過程をお見せしてきました。
赤く透き通った卵が、やがて小さな稚魚となり、日々少しずつ姿を変えていくようすを一緒に見ていただくことができる展示でしたが、今年は、サケの卵の確保が非常に難しくなり、稚魚からの展示となりました。
その背景には、近年の地球温暖化による海水温の上昇、河川環境の変化などによって、サケの来遊数が全国的に減少したという現実があります。こうした影響を受け、私たち京都水族
館も、例年のように卵からふ化させることが困難となりました。
そこで今回は稚魚からの展示とし、成長段階が進んだサケの姿を通して、「なぜ卵から育てられなかったのか?」という背景や、サケを取り巻く環境の変化にも目を向けていただけるよう、展示の構成を工夫しました。
【2025年1月9日(木)】
展示初日、水槽には体長わずか約3センチのサケの稚魚たちが元気に泳いでいました。
まだ体は細く、ヒレを小刻みに動かしながら、まるで舞うように水中を漂っているようすでした。
展示エリアでは、4種類のサケをそれぞれ使った食品サンプルや料理メニューも紹介し、
「食べる」「知る」「守る」をつなぐきっかけとなるような情報提供も行いました。
日頃食卓で馴染みのあるサケは、種類やその漁場、食卓に上がるまで、かなりの違いがあります。
味にも違いがあり、実際に4種のサケを飼育スタッフが食べ比べた感想を展示しました。今回の展示を通してサケを「食」という、より身近な視点から知る機会となったのではないでしょうか。
展示エリアにかかっている某魚有名ソングを口ずさんでいらっしゃるお客さまも♪


さまざまなサケの種類の食品サンプルとメニュー

展示のようす
【2025年2月9日(日)】
1か月が経過した2月上旬、サケの稚魚たちはすくすくと育ち、水槽の中を縦横無尽に泳ぎ回るようになりました。体つきもしっかりしてきて、模様(パーマーク)も少しずつはっきりと現れてきました。
卵からふ化したばかりの頃、「さいのう」と呼ばれる栄養の袋をおなかに残しています。今回の稚魚たちは「さいのう」がわずかに残った状態から飼育を開始しましたが、この頃は自らごはんを探しながら生きていく姿を見せてくれました。

【2025年2月23日(日)】
この日は、「お魚かたりべ」として活動される早武忠利氏をゲストに迎え、年間パスポート会員様限定の特別ワークショップを開催しました。
ワークショップでは、さまざまな種類のサケの違いや、特徴だけでなく、養殖漁業や栽培漁業など、私たちの生活とどれだけ密接にかかわっているかということもお話をいただきました。
実際にサケの下あごの骨を手に取って観察したり、写真に収めたりと、普段なかなか知る機会のないサケの知識にふれることができました。


下あごの骨を写真に撮るお客さま
【2025年3月14日(金)】
展示も終盤を迎えた3月中旬。稚魚たちは約6cmにまで成長し、最初の頃と比べると、その姿は見違えるようにたくましくなっていました。
【2025年3月16日(日)】
あいにくの雨天で寒空の中、今年も由良川に無事放流。3~4年後には由良川に戻って卵を産む個体がでてくることを祈って、旅立ちを見送りました。


今年も由良川サケ環境保全実行委員会の方から「鮭飼育認定証」をいただきました。
今回の展示を通じて、多くの来館者の方に、サケの成長の神秘と、彼らを取り巻く環境の課題を伝えることができたのではないかと思います。
京都水族館では、未来の地球にバトンをつなぐ、サステナビリティ推進プロジェクト「AQTION!(アクション)」を行っています。
水族館だからこそ見えてくる地球や社会の課題に対して、未来を担うこどもたちや地域社会と一緒に取り組みます。
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