コラム
クラゲワンダー研究部員の観察日誌/アトランティックベイネットル編
- いきもの紹介
- 京都クラゲ研究部

2020年に誕生した「クラゲワンダー」。ここでは約30種類のクラゲたちと出会うことができます。
多種多様な特徴を持つクラゲたち。それぞれの見どころを知ることで、お気に入りのクラゲが見つかるかもしれません。
汽水に暮らすベイネットル
ほとんどのクラゲが海に生息しているのはもちろんのこと、海水と淡水が混ざり合う汽水域にもクラゲがいるのはご存じでしょうか?
アトランティックベイネットルは、アメリカの東海岸やメキシコ湾に生息しているクラゲです。もともと大型のアトランティックシーネットルと同じクラゲとされていましたが、近年研究が進み分類が見直されたことで、2017年に別種として分類されました。アトランティックシーネットルとは、大きさや触手の本数などの違いで見分けることができます。成長すると傘の直径は15センチほどになり、水中をゆったりと漂う姿が美しいクラゲです。
透明感の秘密
京都水族館では、ブラインシュリンプという動物プランクトンやミズクラゲをあげています。生まれてすぐにブラインシュリンプを食べ始め、傘が1円玉くらいの大きさになるとミズクラゲを食べ始めます。
白く透明な傘と、長いレースのような口腕が特徴ですが、赤色のアミエビのミンチばかりを食べると胃のあたりにごはん由来と思われる色が濃くなります。写真の個体はどちらも傘の直径が10~15㎝くらいですが、傘の透明感が異なるのが分かりますか?
本来の透明感のある傘を引き立てるために、ごはんの種類にもこだわりながら育てているのでぜひご注目ください。
ちなみに、生まれたてのアトランティックベイネットルの赤ちゃんは小さく透明なため、見つけるのがとても難しいです。写真の中にどんな形の赤ちゃんがいるか、見つけられますか?
見てみたい!クラゲの卵!?
脳を持たず、意思疎通が取れないクラゲたちがどうやって繁殖を成功させているか不思議に思いませんか?クラゲは種類ごとに同じ刺激を受けたときに放卵や放精を行うよう遺伝子に組み込まれており、水中で受精させることができます。よくクラゲの卵を見てみたいという声をお聞きしますが、受精が成功した卵は発生が進むと幼生になり数日でイソギンチャク状のポリプに姿を変えてしまいます。しかし、クラゲの卵を見るチャンスはあります!
多くのクラゲは光を刺激として放卵しますが、アトランティックベイネットルもそのひとつです。毎朝水槽の照明をつけるタイミングで一斉に放卵が始まり、水槽内が卵でいっぱいになります。
水槽の中を覗いてみると小さなつぶつぶでいっぱいだったので卵かな?と思いきやごはんのプランクトンが入っていました。ひとあし遅かったようです。
開館直後であれば見つけられる可能性が高いのでクラゲの卵が気になる方はぜひ朝活をして観察してみてください。
[展示飼育チーム 六浦]
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